こんにちは、桐生真也です。
昨年の12月半ば、神奈川県は箱根にあります”ガラスの森美術館”に行ってまいりました。
イタリアのヴェネツィアンガラスを専門に展示する美術館で、箱根の雄大な山々を背にガラスで彩られた庭園は思わず声を出してしまう美しさでした。
建物もヴェネツィアを模したもので、本来は海辺の街であるヴェネツィアですが、山間にあるのも素敵でしたよ。
私が行ったタイミングでは香水瓶の展示でしたが、小さな瓶に驚くほど細かな装飾がなされていて驚きっぱなしでした。
定期的に展示内容が変わるので、何度でも楽しめる美術館となっているのも魅力ですね。
せっかく行ったのでご紹介したかったのですが、遅くなってしまいました。
そしてやっぱり実物のガラス細工を見て、その美しい装飾や模様を作り出す技術に感動しました。
気になる!
ガラスはいつ頃から使われるようになったのか、どのような技術が生まれていったのか。
遅くなってしまいましたが、気になってしまいました。
詳しい説明などはどうかガラスの森美術館へ足を運んでみて、実際にご覧になってみてください。
浅い知識と拙い文章ですがご容赦ください。
気ままにお付き合いいただけたら幸いです。
ガラスの森美術館とは


ガラスの森美術館は、神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48にあるヴェネツィアンガラス専門の美術館です。
箱根の山々のうねうね道を登っていくと到着するのですが、車酔いが酷い方はお薬を飲んでから向かってください、中々にすごい道路を通りますから。
到着するといきなりガラスでできた植物たちがお出迎えです、天気が良ければキラキラと輝いていてとっても素敵です。
開館時間は10:00~17:30(17:00が最終入館)、天候によっては休館となることもありますのでご注意を、特に冬場の山は雪が凄まじいようなので。
チケットは現地でも購入できますし、オンラインでも事前に購入できますよ。日付指定で購入すると割引になるのでお得です。
そもそも入館料も大人が1,800円とリーズナブルです。
中に入るとサムネイルにも載せました庭園が広がります。
奥に見える煙を吐き出す山は”大涌谷”で、黒たまごが有名ですね。
距離があるので硫黄の臭いは漂っていませんでした、風向きによっては臭うこともあるのでしょうか。
庭園では季節によってアジサイやバラが咲き誇るようです、そんな時期にも行ってみたいですね。
美術館の建物はヴェネツィア風、ヨーロッパを感じられる素敵な建物です。
中は貴族の部屋のような装飾であったり、大聖堂の中のような部屋もあったり、中を歩いているだけでも異国情緒を感じることができますね。
ガラス細工の展示は定期的に入れ替わります。
2025年1月25日より、春の展示「ヴェネチアン・グラスとカーニバルの世界」が展示されます。
ヴェネツィアで2月頃に開催される”カーニバル”をテーマに、ヴェネツィアン・ガラスや写真展が催されるので、是非足を運んでみてくださいね。
ガラス細工の歴史
始まりは古代メソポタミアまで遡る

歴史上最も古く確認されているガラス細工は、紀元前25世紀頃の古代メソポタミア。
そこでは植物の灰と砂を融解させて作られた”ガラスビーズ”が既にあったそうです。
写真で見ると、上の画像のような小さなビー玉のようなものですね。
こんなにも古い時代から既にガラスの製造を行っていたことを考えると、ガラス細工の歴史はかなり長いものであることがわかりますね。
メソポタミア文明ってギルガメッシュとかがいた時代ですよね、もう神話の時代ですよ。
そんな時代から5世紀ほど経った頃、古代エジプトあたりでは鋳造ガラスの製造が行われるようになり、世界初のガラス製の器が作られるようになっていったそうです。
そして現代でも使われる製法である”吹きガラス”が作られるようになったのは紀元前1世紀頃。
この頃には板状のガラス製造も行われるようになり、窓ガラスなどに利用され始めた時代です。
その頃に作られたガラス製品は日本にまで伝わっていて、遺跡などから出土しているようです。
人類の技術の発展と共にガラスの研究も進んできたのですね。
文字だけで見るとあっという間でしたが、実に2500年もの月日が流れていますから。
まだ現代のように高火力の炉もない時代、木材を燃料にして研究を繰り返してきたのでしょう。
ヨーロッパやイスラム圏でガラス製品は盛んに作られ、今日までの土台を築いていきます。
彩色技術の発展とヴェネツィアン・グラス
8世紀頃イスラム圏で発明されたラスター彩色という技法が確立されると、各地で様々な色付きのガラス製品が作られるようになっていったそうです。
教会のステンドグラスが製造されるようになったのもこの頃。
そして13世紀のヴェネツィア共和国。
当時ガラス製造技術が最も発達していたとされる”シリアのアンティオキア”と協定を結び、ガラス職人達をヴェネツィアへと移住させ、国の事業としてのガラス製造を開始する。
鉛を含まないソーダ石灰を使用したソーダガラスによって鮮やかな色合いを作り出し、「軽業師の妙技」とも称された精緻な装飾や極薄のガラス製造技術は、ヴェネツィアン・グラスという世界に誇るブランドを生み出していきます。
しかし他国にその技術が流れることを恐れたヴェネツィア共和国は、1291年に全てのガラス職人やその家族、販売者も含めて”ムラーノ島”に移住させ、逃げる者には厳しい罰を、優れた功績を挙げる者には手厚い褒章を与えるという法令を出した。
これにより、最高峰の技術者が一カ所に集まり切磋琢磨することで、その後数世紀に渡り高い技術力によって様々なガラス製品が制作され、ヨーロッパでも大流行することとなる。
実際に13世紀から18世紀頃まで隆盛を誇っていたようです。
精細なダイヤモンドグラスや、透明なクリスタルガラス、エナメル彩色など技術の発展に大きく貢献していきます。
特にレースをあしらったように見えるレースガラスは、極細に伸ばした乳白色のガラスをレースのように別のガラスに貼りつけて生み出されるもので、その装飾は美しく門外不出とされているようです。
ガラスの森美術館にもありましたが、本当に人の手で作ったのかと疑いたくなるような精細さでしたよ。
写真などでも見ることは確かにできるのですが、あれは自分の目で見て初めてその恐ろしく細かい技術の凄さを感じることができると思います。
もちろん現代もその技術を受けついだ職人と工房が残っており、美しいガラス製品を作っているそうです。
行ってみたいですねヴェネツィア、”ARIA”って漫画を読んでいたのもあって憧れが強いのですよ。
ヴェネツィアン・グラスについても、初めて知ったのはその漫画でした。
もちろんムラーノ島のお話も出てきます、こちらも興味があったら読んでみてほしいです。
ガラス製品の素晴らしさもそうですが、街自体もとても美しく、いつかは行ってみたい街です。
現代のガラス製品
現代でのガラスは食器や建物のみならず、家電製品や通信技術にも応用され、必要不可欠なものとなっています。
ガラス製品は機械的に大量生産できるようにもなり、安価で手頃な物となりました。
しかしながらムラーノ島の職人をはじめとした手作業で作り出されるガラス製品は世界中でも人気が高く、美しい工芸品として今後も作られていくことと思います。
日本もガラス製品が本格的に制作されるのは1570年も過ぎた頃と遅いのですが、江戸切子や薩摩切子など、世界に誇れるガラス製品が作られています。
手作りだからこそ感じられる温かみや、不揃いだからこその一品物という価値。
どれほど機械的に作れるようになっても、こういった職人の技術は失われないでほしいと願うばかりです。
感想


とても古い歴史と共に歩んできたガラスの製造技術。
中世ヨーロッパで最盛期を迎えたその技術は、しかし今日に至ってもその基本的な技術は受け継がれ、進化を続けています。
長い時間の中で進化してきたその技術は、太古の時代より素晴らしいものを作り出そうとする職人たちの魂の継承と言えるのではないでしょうか。
全てを機械化してしまうことなく、こういった物が受け継がれていくことは、素晴らしいことだと思います。
そんな歴史の一端を垣間見ることができるガラスの森美術館にも、機会があれば立ち寄ってみてくださいね。
それでは今回はこのあたりで。
あなたの大切な時間で読んでいただき、ありがとうございました。
Radiotalkで音声配信もしていますので、興味がある方はぜひこちらも聴いてみてくださいね。
番組 #真也のFeelingNight #Radiotalk https://radiotalk.jp/program/155656
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